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出版業界事情〜近頃の文化事情に思う [世間話的ジジ問題]

NHKの「クローズアップ現代」で、現代の出版界の内情を特集していた。

本の売り方が変わってきているそうだ。
毎日大量の本が出版され、書店に納入され、
売り上げの伸びない書籍は、短期間で返品される。
本を売る方は、「ランキング」に依存しているらしい。
書店もメガストア主流になり、
小さな書店はどんどん姿を消しつつあるそうだ。

最近、本屋がおもしろくないな、というのは感じていた。
父譲りで、本好きの私は、以前なら、書店は一日中遊んでられる場所であった。
でも、最近はちがう。
まず、同じ本がたくさん積まれているスペースが多くて、
売り場面積の割に、本の種類が意外と少ない。
雑誌や情報誌、コミックが多く、アート本、文化本、サブカルチャーディープ本が少ない。
雑誌の中でも、作り手のこだわりが感じられるようなモノはどんどん減っている。

ネットで手軽に様々な情報を得る時代、書籍の売り上げ自体が伸び悩んでいることもあるだろうし、
書籍を購入するにしても、インターネットでショッピングができてしまうので、
書店のあり方も変わってきているのであろう。

しかし、やはり、手にとって、内容を確かめてから買いたい本もたくさんある。
先日は「豆料理」の本を買いに行った。
自分の好みのレシピがたくさん載ってるかどうか?家庭で作れるレシピか?
食材は手にはいりやすいものか?わかりやすい本か?

それに、目的なく書店に行って、新しいジャンルの本に出会うことだってある。
大きな楽しみだ。

そういう意味では、ベストセラーばかりを並べて売る書店とは別に、
もっと、ジャンルに特化した書店が出てきてもいいんじゃないかな。
書店主の知識とセンスが問われるような店。
売る側と買う側が、本という文化を共有できるような店。

出版社もしかり。
経営が厳しいのもわかるが、こちらも、出版に携わる方々の心意気を見せて欲しいものである。
何年か前、昔父に借りて読んだレイ=ブラッドベリの作品が読みたくなり、
何軒か書店を回ったが、全く見つけることができなかった。
そんな中、彼の「サウンド・オブ・サンダー」が映画化され、
ほんの一時的に増刷されたブラッドベリ作品がワゴンに山積みされた。
もちろん、あわて全作品買ったのは言うまでもないが、
近年の出版事情をかいま見た気がした。
また、私の中でのベスト作家は、フレドリック=ブラウン。
中学時代にたくさん読んだが、今もなお、読み返したい本である。
多分ほとんど全部持っているので、買い足す必要はないのかもしれないが、
本やめぐりをしたときは、必ずチェックする。
ない。近年、全く見かけない。
そんなにマニアックか?
ためしにネット検索してみると、出版元でも、絶版になっているものが多いことがわかった。
そもそも、文庫コーナーにおける、文学作品が、だんだん減っている。
私は、ばあちゃんになったら、じっくり文学作品を読みあさるのを楽しみにしているのだ。
お願いしますよ〜、出版社さん!

同じことが、音楽、映画などにも言えるのではないか?
量産品をあてがわれ、本当に自分の感覚にぴったりとくるものが捜しにくくなっている。
私の友人知人は、本、映画、音楽好きな人ばかりだが、
オススメのものは、本当に一人一人ちがう。
それを情報交換しあって共有するのもおおきな楽しみだが、
そして、同じモノを好きになっても、ひとりひとり、感じ方は、ほんとうにまちまちである。
その多様性から、自分の感性もどんどん広がっていくのがまた、楽しい。
そもそも、文化や芸術の質というのは、その多様性にあるのではないのか?
もちろんベストセラーが悪いと言っているわけではない。
そんなに人気がでるものは、良さがあるに決まっている。
ただ、多様性を失うことは、本当の意味での文化芸術の「死」を意味する。
なぜなら、文化芸術は、けっして発信する側の一方的なものではなく、
受け手側の感ずるところに負うところが大きいからだ。
「人間」という、面白いほど多様なものに対して、発信する側も、
正念入れて向かい合ってほしいと望むところである。


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コメント 6

め

同感です♪
by め (2008-06-06 02:04) 

めびうす

同感です♪
by めびうす (2008-06-06 02:04) 

菅原@ジェベル250XC

まずはじめに・・・
クローズアップ現代 わしも好きで良く見ています。
昨夜のノルウェーの外交戦術については特に面白かった・・・

>> 本当に自分の感覚にぴったりとくるものが捜しにくくなっている。

 きっと、それだから 音楽の世界ではちょっと下手でも思うがままに
製作されるインディーズが持て囃されたり、出版ではこちらの望む
方向とはかけ離れているけど、同人なんかが売れるのではないで
しょうか?  お店に並ぶ小物に飽き足らなくて、あちこちで開催される
フリーマーケットや手作り市が賑わう事とも、あながち無関係ではない
かもしれません。


本屋も商売なので、食べていくには売れる本を並べなければいけないけど
商売ばかりに走ると、必然的につまらないものになる。 まあ、世の中の
話題について行くだけを目的として、ランキング上位のみを買う顧客には
関係の無い話かもしれないが・・・

やはり最近欲しい本が少ない気がする。  ただ、本屋に少ないからと
手に入らないわけではない。

>> http://www.amazon.co.jp/

アマゾンと言う方法もあるので・・・・
でも、これだと立ち読みして中を確認してから買うと言うワザは使えません
けどね。

やはり こうなると頼みの綱は『古本屋』さんですかねぇ~
シリーズ物はやたらと高い値段が付いていたり、バラバラに並んでいて
探すのが異様に疲れたりする場合もありますが・・・
ゾッキ本と言って、新品だけど中古価格で買えることもあります。
ラブクラフトのハードカバーの全集を一気買いしたことがあります。
国書刊行会(だったかな?)と言うところの本で、聞かない出版社だった
ので少し心配になりましたが、後で調べたら、そんなにマイナーでもない
みたいなので一安心。

大阪だと判りませんが、名古屋の場合 上前津から鶴舞への通りには
古本屋さんがてんこ盛りで1日では全部を見て回る事は到底出来ません
残念ながら、最近は不景気で店が無くなっている事も・・・・
ちと、寂しいです。
そう言えば市内の古本屋さんも何軒か潰れています。
5年位前に、アサヒカメラと日本カメラ&カメラ毎日の10年分くらいを
まとめて売った古本屋も無くなってたなぁ

フレドリック・ブラウン は東京創元社と早川がメインですね!?
73光年の妖怪は持っています。 他にも何冊か・・・
また読もうかな。

実は当方のマイ〇〇さんに、アーサー・クラークや、ギブスンと一緒に
記念写真を撮っている人が居ます。 うらやましぃ~~~~
話がずれちゃった (^^;;;;
by 菅原@ジェベル250XC (2008-06-06 05:51) 

くりまき

古本屋さんか〜。梅田にあるなあ・・・。
じっくりと、巡ってみよっかな。

創元推理文庫とか、ハヤカワ・ミステリとか、
よく読みました。

もっと、本読む時間作りたい・・・。
by くりまき (2008-06-08 17:56) 

ゆきんこ

どうも、こんにちわ~始めまして。

予定(スイミング)をキャンセルしてクローズアップ現代を生で見た人間としては、一連のエントリーは非常に面白く読ませていただきました。

確かにランキングに依存していた方が出版社も書店も著者も楽チンですよね~まぁ、読者にとって良いのかどうかは別として・・・

本当に良書が欲しい人はランキングに頼らずとも自力で見つけてくるんでしょうが、そうではない人はどうなっちゃうんですかね~

ではでは。

by ゆきんこ (2008-06-09 12:13) 

くりまき

>>書き込みありがとうございます。
やっぱり、何事にも、あくなき探求心が大事ってことなんでしょうね。
でも、「こだわり」や「思い」を持つ人が、こうしてたくさんいるってことは、うれしいことです〜。
by くりまき (2008-06-10 18:10) 

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